士幌線(その1)


末端区間が膨大な赤字のため昭和53年にいち早くバス代行化されたことで有名だった路線です

士幌線は十勝地方北部の農産物や森林開発を目的に帯広から三国峠を超えて上川までを結ぶ路線として計画され建設されたようです

実際には士幌、糠平を経て十勝三股までの78,3キロが開業しました、帯広から上士幌あたりまでは広大な十勝平野を走っていましたがその先

は次第に山深く分け入り音更川に沿った渓谷沿いの美しい山岳路線になっていました

しかし士幌線も国鉄末期に始まった赤字ローカル線大整理時代の波に飲み込まれ、鉄道として運行していた帯広〜糠平間も昭和63年3月に

廃線となりました、事前の情報では上士幌付近までの平野部はほとんどが農地に生まれ変わり鉄道の痕跡はほとんど消滅しているとのことだっ

たので上士幌以北をメインに撮影してきました

 

士幌線の始点だった帯広、かつてこの駅からは北へ士幌線、南へ広尾線という2つの

ローカル線が分岐していた要衝でしたが今はどちらもなく、1中間駅としての機能のみに

なりそして近年、近代的な高架駅に生まれ変わりもはや両線の痕跡は完全に消滅して

しまいました、もうこの駅から2ローカル線が分岐していたことを想像することは出来ない

ほどの変わりようです

ここ、帯広でレンタカーを借りて十勝三股へ向けて一路北上します

 

十勝平野はほんとに広大です、交差する道路など10キロ直線なんか当たり前!大農場や牧場が点在する光景は日本離れしています

その中を士幌線は走っていたのですがその痕跡は主要な駅付近のみにしか残っていないようでその中の一つがこの士幌駅です

士幌駅は一応士幌町の士幌線記念館的な存在で駅舎、ホーム、線路などそのまま残されていて車両も貨車などが数両置かれていました

周囲は士幌町の中心地から近いので民家が多いのですが士幌駅付近だけはひっそりとしていましたが駅前にただ1軒、日通の小さな事務所が

いまだに健在だったのはかつてこの鉄道が”生きていた”証のようにみえました

 

士幌線沿線の中心、上士幌駅跡です、しかし上士幌はうってかわってミニゴルフ場のよう

なものになりその片隅に妙な色の客車が2両置かれているだけの状態でまったく物足り

ません!解説板なども見当たらず客車がないと駅跡とはわからない状態です

上士幌町には、後述する糠平の鉄道資料館があるからいいのだろうということなのかも

しれませんがちょっと残念です、なお平野部ではその他、音更駅も残っているらしいので

すが現在はどうかわかりません

 

平野部が終わると次第に山深く分け入っていく士幌線、その入り口あたりだったのが黒

石平駅です、写真は並行する国道273号で左の手すりの階段を下りていくとホーム跡が

あります、黒石平覆道のすぐ手前にあります

なおこの駅は現役時代、勾配の関係で下り列車しか止まらず上り列車はこの先の電力

所前乗降場に止まっていたという変わった駅でした

この駅は開業当初から無人地帯だったらしく利用者もほとんどいなかったそうです

 

黒石平を出てすぐの第三音更川橋梁、並行する国道の橋から見えます、このあたりからは山岳地帯のた

め士幌線の痕跡は相当残っているので見所も多数存在します、そして名物のアーチ橋群が始まります

士幌線の特徴として、この山岳地帯に入ってからのアーチ橋があります、建設費を抑え資材を現地で調

達できるため士幌線ではコンクリートアーチ橋が多数建設されました、また沿線の景観も考慮してという

こともあったそうです、この古代ローマのようなアーチ橋、これらは近年崩壊の可能性があるため取り壊

そうとの話に対して地元ではこの美しいアーチ橋を逆に産業遺産として保存しようとの活動を行い町の方

でも保存を決定したそうでその英断には拍手を送りたいところです

 

黒石平と電力所前の間で糠平ダムで付け替えられた旧線と分岐します

旧線は道路の下方、新線は上方を走っていて小規模なアーチ橋が多数見られますが秋

はまだ草木が多くてわずかにしか見えませんでしたが冬季や春にははっきり見えるらしい

のでその時期にも来てみたいところです

新線は国道と並行して糠平温泉の方に進みます、写真は不二川橋梁、数年前まで残って

いたそうですが現在は橋脚だけになっています

 

末端区間のバス代行化後の終点だった糠平駅、現在鉄道資料館として一新されました

館内には在りし日の士幌線の写真や備品が多数展示されています、また現役時代の士幌

線の前面展望ビデオも見ることが出来、これは非常に見ごたえがあります、訪問した際に

はぜひ見ることをお勧めします(月祝日休館、9時〜16時まで)

このときの見学者は平日だったので私一人、受付のおばさんがいろいろ説明してくれて

ビデオを見るときにはコーヒーを入れていただきました、いい思い出です

 

その2へつづく

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